不浄の恋

不浄の恋








R-15程度の山なし、オチなし、意味なし、愛もなさそうです…  左←←←兼







 有明の空にゆらめく朧月  朝日にのまれやがて消えゆく儚さを兼続は一人見上げていた

 この不浄なる思いもあの月と共に消えてしまえばいいのに――





荒い息を吐いて必死に快楽と疼痛に耐える兼続の耳元に左近は唇を寄せる。
「背中、痕がついちまいます」
そう言い、背中に爪を立てすがりつく兼続の手首を引き剥がし畳の上に押さえつけた。
いつもそうだ、痕を残すなと、己の身体に何の痕跡ものこしてはならぬとこの男は言う。兼続もそれに続く言葉を聴きたくない、
「殿に知られたくないのでね」
だからいつもならぬと己に言い聞かせるのに、この男に抱かれると全てが曖昧になる、自戒の念など熱に飲まれあっという間に霧散してしまう。
胸がジクと痛む。
「もしかして、わざとですか。知られたいんですか」
その言葉の一つ一つに情などというものは感じられない。
薄笑いを浮かべる気配に兼続はすまぬと一言漏らすだけ
「仕置きが必要ですな」
さも楽しそうに言うと、左近は兼続の身体を激しく突き上げた。
その動きの一つ一つにも人が人を愛したいと思う時の優しさなど有りはしない
この男にとって、これは遊びでしかないのだ

苦しい――

そこには恋など、ましてや愛なんてもの絶対に存在しえないと、これから先も生まれてくる事などないと分かっていたのに。
詐術に長けたこの男の罠にはまったのか、それとも勝手に溺れたのか、もう分からない。分からなくなる程何度も何度も抱かれた。
倒錯した欲望に身をまかせた。欲しいと、道理など、と己をかなぐり捨てた。


これはきっと罰なのだ――


己の身体に痕跡を残すなという男は兼続の身体にだけ白く濁った嵐の痕を残して夜明け前には去って行く。






一人残された部屋で明けゆく空を見ながら願うは、送られる事もなく、受け取られる事もないこの思いが、朝の光の中に消えゆくこと。











◇三成と左近の関係は謎です。左兼大好きなんですが、自分で書こうと思うと不義な内容しか思いつきません\(^o^)/黒い遊びなれたような左近が大好きです。よって左兼を書こうとするといつも兼続が可哀相な事になるのであまり作品として形に残せないでいます……もだもだ