lisiar
ひどく傷つける・不具にする
◇風魔×兼続 若干バイオレンス
この上なく不快、−だが、面白い。
それが風魔小太郎にとっての直江兼続という男の感想だった。
どんなに美しい理想を掲げ美辞麗句を並べても、この戦国乱世やっている事は結局の所「奪い合い」、「殺し合い」なのだ。多くの領主と呼ばれる人間は人心を掌握する為の大義『光』、と実際に権力を手にし欲望を満たす為の力となる『闇』の働きを理解していた。
ただ、『闇』とそこに生きる者達の事は口に出さぬそれが不文律となっている、その存在は闇から闇へと葬られ語られる事はないそれだけの事だった。
だが、直江兼続は違っていた。
この男は自らの進む道には『光』のみが存在するのだと信じて疑わない、『闇』の存在など認めようとするはずもなく、ましてや己がそのようなものに身を落とすなど夢思いもしていないだろう。
殺すこともできた。だが面白いと思った、この男から『光』を奪い去ってやるのは。だから小太郎は兼続を生け捕りにした。
皮膚を裂く程にきつく縛り上げた兼続の体の線をなぞり上げながら小太郎は考えた。
今まで己が目にしてきたこの世の地獄を全て見せ付けてやろうか、それとも体中切り刻んで生きているのが嫌になるほどの苦痛を与えてやろうか……。
そして思った、
このところ「遊んで」いなかったな
と。
貪り犯しつくした後この男はどんな顔をしているのか、そう思いながら兼続の白い頬に指を滑らせる。尖った爪が薄くその肌を傷つけた。兼続はブルリと小さく震えた。
だが今は「まだ」その瞳はまぶしい程の光を放っている。
小太郎は唇の端を僅かに上げて冷たく微笑んだ。