片思い
景勝×兼続
というお題やってみた。…けど学パロ感は薄いです
年齢設定いじってます。
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「わしもちょうどお前に話があった」
――こんなやり方は卑怯だ
「え?では景勝様からお先に」
どんな時でも景勝が何かを言えば兼続は景勝の事を優先させる、それを分かっていて兼続の気持ちを全て封じようとしている己の汚さに景勝は自嘲する。
しかしこんな風にしか兼続を繋ぎとめる方法が分からない。
景勝が兼続と出会ったのは、景勝が七つ兼続はまだ五つにもならぬ幼い頃だった。
兼続は景勝の両親が経営する企業の社員の息子だった。企業の主催するイベントで景勝の母の目にとまった兼続は子供の頃からその聡明さと美しさが光る並みならぬ子供だった。やがては大企業を牽引していかねばならぬ立場の景勝の補佐にと見込んで、母親が兼続の父に話をつけると兼続はすぐに上杉家に通ってくるようになった。
兼続は景勝によく懐いた。己の外見にコンプレックスがあり人と喋る事に苦手意識を持っていた景勝だったが、いつも明るく子犬のように喜んで己にまとわりついてくる兼続の存在にいつしか癒され、信頼を寄せるようになっていた。数少ない心を許せる相手を得た景勝はこれを慈しみ大切にした。
そんな風に二人の絆は時がたつほどに強くなっていった。
しかし、兼続が高校に入学する頃景勝の心に少しずつ歪みが生じはじめた。
どんな事があろうともこの絆が他のものに侵される事などありえない、そう信じていたはずなのに、兼続の心に侵入してきた赤毛の青年がいつしか兼続を奪っていくのではないかという不安に捕らわれ、穏やかな気持ちのみで兼続を見る事ができなくなっていた。
この日兼続が景勝に話したい事があると言った顔は嬉々として幸せに満ちていた。きっと恋する相手、石田三成の事を己に打ち明け何か相談でもするつもりだったに違いない。 だが、それら一切に気付いていないふりをして景勝は言った。
「お前はずっとわしと共にいるか?」
少し不思議そうな顔で景勝を見つめた後兼続は笑った
「何かと思えば、深刻な顔をして。当然でございます!私一生景勝様と共に歩む覚悟でございます!」
「ならば……」
景勝は兼続を引き寄せると唇を奪った。驚いた兼続が抵抗しようとしたが、押さえこむ手に力をこめると何事か理解したように兼続は力を抜いた。唇を離した後もう一度確認するように言った
「ずっと共にいてくれるのだな」
「……はい、景勝様」
そう応える兼続の目は先ほどとはうって変わって悲しげに潤んでいる。
どんな形でも己が欲すれば拒絶できない事を分かっていて、兼続の言葉を、思いを封じた。
「……お前の話とは何であった」
応えることなど出来ないと分かっていて、兼続を縛りつけた事を確認したいが為に残酷な問いかけをした。
「……あ、いえ。大した事ではありませんので……」
必死で笑顔を取り繕おうとする兼続の姿に罪の意識を感じたが、兼続を己が元に留めたという安堵の方が勝った。
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兼続にとっては完全に主従以外の関係ではなかったんだけど、景勝様は兼続の全てが欲しかった……みたいな話なでした。 しかしこれ学パロじゃない…?兼続が景勝さまと話してるのが放課後の校内って事で……